こんにちは、いずみです!
バイリンガル教育に取り組んでいると、いろいろと問題にぶつかることがあると思います。
子供が日本語学習を嫌がったり、学習が続かなかったり。
うちの子がひらがなの練習を始めたのは5歳半頃でしたが、長い間思ったような成果が出ず、学習を習慣化することもできていませんでした。
でも、ご褒美を導入し、いくつかのことに注意するようになって、日本語学習がうまくいくようになりました。
今回は、ご褒美を使って学習に取り組む中で気づいた「何を目的としてご褒美を使うのがよいのか?」について書きたいと思います。
目次
1.ご褒美を導入した理由
①日本語の読み書きをやる意義が子供には感じづらい
②子供が学習を嫌いにならず、ストレスなく取り組めることが重要
2.ご褒美を実際に取り入れて気付いたこと
3. ご褒美の役割
4.ご褒美を使う目的は?
5. ご褒美を使うデメリットはある?
最後に
1.ご褒美を導入した理由
私がご褒美を使うことにしたのは、
- 1年半たっても学習習慣もついておらずお手上げ状態
- 子供は7歳で、もうのんびりやってる余裕はない
- 子供が日本語学習を嫌がった時に押し問答になったり、やらせることに罪悪感を感じるのが嫌だった
という理由からでしたが、他に以下の理由もありました。
- 日本語の読み書きをやる意義が、子供には感じづらい
- 日本語学習は長期戦。子供が学習を嫌いにならず、ストレスなく取り組めることが重要だと思う
①日本語の読み書きをやる意義が子供には感じづらい
日本語学習に取り組む理由は、子供には感じづらいと思います。
たとえば、大人で、フルタイムの仕事をしつつ帰宅後に資格試験の勉強ができる人がいるのは、「しんどくてもこれをやればいいことがある」とメリット(昇給、昇進など)を理解して、自分で決断するからですよね。
それに、大人は長期的な視点で物事を考えることができるので、今すぐにはメリットがないことにも取り組むことができます。
でも、未就学児や小学校低学年の子が、10数年先をみすえて今必要性を感じない勉強をするなんて無理な話。
「日本語をやるのはあなたのためよ」とか「将来、やっておいてよかったと思うんだから!」と親が言っても、現実味のない将来のために面倒くさいことをやろうと思えないのは当たり前だと思います。
なので、「今」学習する理由として、わかりやすいメリットを提示してあげれば、子供も学習に取り組む気になるのでは?と思いました。
②子供が学習を嫌がらず、ストレスなく取り組めることが重要
アルファベットだけの英語やドイツ語などと違って、日本語はひらがな・カタカナに加えて大量の漢字を覚えないといけないし、しかもたいていの漢字に複数の読み方があります。常用漢字だけで2,136文字。長期戦です。
日本語学習のために親子関係が悪くなっては本末転倒だし、子供が日本語学習を嫌だと思わないこと・ストレスなく取り組めることは、学習を長期間に渡って継続する上で大切だと思いました。
2.ご褒美を実際に取り入れて気付いたこと
私はデメリットとしてよく挙がる、「勉強目的がご褒美をもらうことになる(かも)」「ご褒美がないと勉強しない子になる(かも)」というリスクは承知の上でご褒美を導入しました。
なぜなら、思いつくことは試し尽くし、もう他に良いと思える代替策がなかった(思いつかなかった)から。
子供はすでに7歳直前、まもなく現地校に入学というタイミング。しかも、今まで続けてきたやり方で日本語学習を続けてもほぼ無意味だろうという確信があり、私は本当に切羽詰まっていました。
そして、ご褒美を使うことについて一通り調べた上で、以下のように考えました。
- 子供自身が日本語学習の意義が理解できるようになるまでは、ご褒美目的でも日本語を勉強してくれたらいい
- 弊害のないご褒美の選び方・あげ方があると思うので、そういう選び方・あげ方をすればいい
- もし、ご褒美依存がひどいと感じたら、ご褒美を使うのは中止すればいい。それで日本語学習をやめることになってもしょうがない
でも、学習が続いていくうちに、ご褒美だけに釣られて息子が学習を続けているわけではないことに気づきました。息子の中に日本語学習をする内発的動機が生まれていました。
※「内発的動機」についてはこちら。
苦手意識があることや不得意なことなど、やった方がいいけどハードルが高くて行動に移せないことに、ご褒美をきっかけに挑戦する。それを継続しているうちに「やっているうちにできるようになった!うれしい」「意外に面白くなってきた」などの内発的動機が生まれてくる可能性は高いです(そこまでではなくても「できるようになったら嫌じゃなくなった」とか)。
日本語学習に対して内発的動機を持っていなかった息子ですが、ご褒美を外発的動機として日本語学習をスタートした後に「勉強を1年以上、1日も休まずできているという自負心」「ドイツ語だけじゃなくて日本語の読み書きもできるのはカッコイイという気持ち」など、複数の内発的動機が生まれました。
3.ご褒美の役割
このことから、ご褒美の役割は、あることに対して内発的動機を持たない子がそのことに挑戦するきっかけとなり、内発的動機が生まれるところまで引っ張っていくことだと思っています。
ジョギングにたとえて言えば、まずはスタート地点に立ちスタートし、走り出すところまでをご褒美に助けてもらい、さらにしばらく伴走してもらう。走ること自体が気持ちよくなってきて(=内発的動機)毎日ジョギングするようになったら、ご褒美はお役御免となる、というイメージです。
新しいことを始めるのは大人でも負担を感じるもの。
「1を100にするよりも、0を1にする方が難しい」と言いますが、ご褒美のおかげで「0を1にする部分」がラクになるし、楽しみがあることによって、習慣づけたいこと(息子の場合は日本語学習)を苦行にせずに済みます。
うちの子を見ていて、日本語学習は最初が特に大変だと思いました。頑張っても成果が出るまでにしばらくかかるからです。ひらがなを書いても書いても、そんなすぐには記憶に定着しないし読めるようにもならない。うちの子は、何回書いてもなかなか覚えられない字に、よくイライラしてました。しかも、なんでやらないといけないのかもわからない。
でも、スポーツであれ何であれ、できない間は練習がつらかったり面白くないと感じても、できるようになれば面白くなって、練習にも身が入るようになりますよね。ご褒美につられて学習を続けているうちに、読み書きできる字がだんだん増えていきます。そうすると、日本語学習が最初ほどは嫌じゃなくなると思います。
4.ご褒美を使う目的は?
なので、ご褒美は「学習を習慣化する」という目的で使うのがいいと思います。
ご褒美を使う目的が、たとえば「勉強させるため」や「テストで良い点を取るため」であれば、勉強させる必要がある時や、テストのたびにご褒美を使わないといけなくなります。
でも、「学習を習慣化する」という目的であれば、学習習慣が定着し、内発的動機が生まれたら、ご褒美を使い続ける必要はなくなります。
5.ご褒美を使うデメリットはある?
上記の理屈でいけば、ご褒美を長期的に使うことにデメリットはなさそうです。
ご褒美の弊害としてよく言われること(ご褒美依存など)は、何をあげるかや、ご褒美を長期的に使うことによって起こります。なので、ご褒美はあくまで外発的動機として使い、子供のやる気が引き出されたら、そこから内発的動機付けによるやる気につなげていく。
これがうまくいけばご褒美から卒業でき、ご褒美を長期的に使うことの弊害は起こらないことになります。
でも、実際にはご褒美を卒業させるのはなかなか難しいと思います。うちもご褒美(週に1回もらうチョコレート1粒)を卒業できていません。日本語学習が1回限りのチャレンジではなく、継続的なチャレンジだからです。
なので、ご褒美には「子供がいずれ興味を失いそうなもの」を選んでいます。
最後に
子供が学習の成果を感じられるところまで最速でたどりつくには、まず学習を習慣化し、そして継続することが重要だと思います。
ご褒美なしで学習がうまくいっているなら、それにこしたことはありません。でも、
- 「日本語を身に付けた方がいい/身に付けてほしい」と親は考えているが、子供は日本語学習をやりたがらない
- 日本語学習をやる・やらないで親子で日々言い争いになるのがストレス
といった状況であれば、学習を習慣化するためにご褒美を試してみてはどうでしょうか。
「ご褒美を使っての日本語学習」のその後についてもレポートしていきます。
それでは、また!